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食材を集めていけば(自動的に)料理ができる……という、「天空のレストラン」のとっつきのいい基本システムの土台になっているのが、「食材をどう組み合わせるとどういう料理ができるか」を設定したデータ。
これを開発スタッフは「レシピデータ」と呼んでいます。ここではこのレシピデータ関連の裏話を少々……。
「天空のレストラン」で、プレイヤーが作れる料理は合計2000種類にのぼります。
※広報資料等では「1800」と紹介されていることが多いのですが、これは「正式な料理」の数で、その他に「ヤミ料理」と呼ばれるジャンルの料理のデータが約200種入っています。
こういった数字は、６人のシェフが知っている全料理をあわせた数ですので、シェフ一人一人が知っている（作れる）料理数はそれより何割か少なくなります。
たとえば和食が得意なシェフは何百種類もの和食メニューを「知っている」のに対し、和食が苦手なシェフは、ほんの２〜３種類しか和食のレシピを知らなかったりします。
一方、和食のシェフは２、３の安いカレーしか作れない（カレー粉をゲットしてしまうと悲劇）のに対し、カレーが得意なシェフならカレー料理を何百も知っている、というしくみです。
レシピデータは、内部的には次の10ジャンルに別れています。ジャンルごとのレシピ数はいろいろですが、平均すれば各200ですネ。
| ジャンル | ひとこと |
| 和食 | 刺身、茶碗蒸し、鍋物、丼物、焼き魚、お吸い物、すし……などなど、日本人にはおなじみの料理のオンパレードです。刺身系や鍋料理に高額なものが多いのが特徴です。 |
| そば／うどん | むろん和食の一種ですが、データ管理上では独立ジャンルとなっています。 「そばやのカレー」「天ぷら」など、「おそばやさんによくあるそば／うどん以外のメニュー」も一部含まれます。 |
| 中華料理 | ギョーザ、シューマイなど、安価な点心から高額な一品料理、スープ、そして超高級料理として知られる北京ダックまで幅広くカバーされています。 |
| ラーメン | ラーメン、味噌ラーメン、冷やし中華から長崎チャンポンまで、中華めんを使う料理で形成されています。あんまり高額な料理はありません。 |
| フランス料理 | 最もレシピデータ数が少ないジャンルですが、現実の(日本での)フランス料理の位置づけを反映して、高級＝高額料理が目白押しなのが特色です。 |
| イタリア料理 | おなじみのスパゲッティやピザなどから、高級イタリア料理店でしかお目にかかれない一品料理まで、イタリア料理全般を含んでいます。 |
| 洋食 | 「オムライス」「ハヤシライス」など、長年親しまれている洋食メニューのほか、「ピロシキ」などのロシア料理やドイツ料理なども含みます。「ビーフステーキ」もこのジャンルです。 |
| エスニック料理 | 韓国、東南アジア、中東、アフリカ、中南米、インドなど、世界各国の珍しい料理を含みます。「トムヤムクン」「ナシゴレン」など、日本でも有名な料理から、ほとんど見たことも聞いたこともないような料理まで内容はいろいろですが、すべて実在の料理です。 |
| カレー | 「駅前の立ち食いカレー」的なイメージではなく、もうちょっと本格派のインドカレー専門店のイメージを基本に編成されています。このため、カレー料理完成には原則として米（ライス）は必要ありません。 |
| ヤミ料理 | 集めた食材が「シェフの知識の範囲内＝レシピデータベースに存在しない組み合わせ」になってしまった場合に、シェフが即興で作り上げる一種の創作料理です。 ゲームのルール上、「正式な料理」とは認められませんし、価格も安いのが難点ですが、盤面上においてお客に食べさせることは可能です。 |
全レシピ数の「2000」という数には、「公式には料理と認められないシェフの創作ヤミ料理」の数も含みます。
この部分は決してつけ足し的な内容ではなく、じつはかなり力が入ってます。
実際にゲームを始めてみると、なにしろ「他人のレシピに食材を入れて邪魔をする」ということが可能なゲームですので、この種のヤミ料理はしょっちゅうできますが、
「闇ックスサンド」（パン入りのヤミ料理）
「アワビこりこり鍋」（アワビ入りの高級ヤミ料理）
などなど、ひとくちにヤミ料理といっても何百種ものバリエーションがあり、1000円台の大物すら存在する、というシステムになっています。
むろん、ヤミ料理ばっかり作っていたのでは勝ち目はないというのも現実ではあるんですが、勝敗を度外視していろいろヤミ料理を作って試してみるのもまた一興かもしれません。
そんなこんなで、プレイ中、プレイヤーが新しい食材をゲットするたびに、実は背後ではレシピ検索プログラムが忙しく働き、新しい食材を各プレイヤーに渡した場合にどんな料理が作れるかを調べています。
つまり、2000×４、計約8000データを対象とした検索が毎回実行されていることになります。
全般には動作が「軽い」ゲームソフトに仕上がっている中、この部分はさすがに「重い」仕事にならざるを得ず、ゆえに食材ゲット直後のタイミングで若干反応が遅れることがあります。そんなときは、
「ははん、いま必死でCD-ROMにアクセスしているのだな」
てな感じで受け止めていただければウレシイです。
以上紹介してきた通り、このゲームは内部に「データベース」を持っていて、頻繁にそのデータを検索しながら進みますが、それはたとえばインターネットの検索エンジンとは違って、同一条件で検索した場合に出てくる答えが毎回同じ、という種類のものではありません。
たとえば、同じ「中華めん」に対して、一人のシェフが、あるときにはシェフは味噌ラーメンを作りたがり、別のときには冷やし中華を作りたがる、ということがしょっちゅう起きます。
そういう気まぐれな「シェフ」をパートナーとして、彼らのクセをつかみながらだましだまし、なるべく高額な料理を作っていく。このあたりには経験とカンがかなり必要になってきます。
そういう意味での奥の深さを提供することも、レシピ検索システムの大きな役割になっています。
2000/10/16,11/5
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