プロダクションノート 1
辛苦のリサーチ活動
本ゲームの開発プロジェクトの前半では、まずさまざまなジャンルの料理の試食リサーチ活動に力点が置かれた。週2度の開発会議のあと、おもに渋谷、代官山近辺のさまざまなレストランに赴いて、さまざまな料理を実際にスタッフが試食したのである。
しかしこれはあくまでもリサーチだから、まともなお食事会ではない。
「メニューのここからここまで、全部一つずつください」
……とか注文をした上、料理が届くたびに全員でジャンケンするのである。
で、ジャンケンに勝った者がまずその料理をたっぷり試食する。そのあとは時計回りで、2人めは1人めの半分ぐらい、3人めはそのまた半分ぐらい……と、一周して末席に皿が回ったころにはつけあわせの野菜しか残っていない。そういう厳しい生存競争の世界なのであった。
小じゃれたレストランでこんなことやって騒ぐのは当人たちも恥ずかしいが、レストラン側にも迷惑であったらしく、道玄坂上のとあるイタリア料理店(今はもうない)では、イタリア人シェフがわざわざ席までやってきて、
「おいしいですか〜。でも次からこういう頼みかたはダメね〜」
とクギをさされてしまった。
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